ビジネス書をビジネスのチカラに。書評ブログ

ビジネス書の書評ブログ。ビジネス書の紹介、ビジネス書の名言・言葉などを紹介しています。本の書評・感想レビュー

【メルマガ登録】(無料)まぐまぐ殿堂入りメルマガ  メルマガで読みたい方は、ぜひご登録を!
知識をチカラに
(マガジンID:0000139905) Powered by まぐまぐ
メールアドレス:

 本を書きました。絶賛発売中です!→ 『1つのことを長く続けられる技術』  本の詳細 → 『1つのことを長く続けられる技術』

 
 

『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』ノーベル賞を受賞した2人が説く


ノーベル経済学賞を受賞したアビジット・V・バナジー氏とエステル・デュフロ氏が、社会的な問題に関連する経済学などについて書かれています。

経済成長や貧困、格差、温暖化などの経済学的な知見を書かれています。

本書の題名から希望に変えられるかと思うかもしれませんが、結論を書いてしまうと、そこまでではなかったです。

希望はないということではないのですが。

『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』

アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ 

『絶望を希望に変える経済学』の 目次

1 経済学が信頼を取り戻すために
2 鮫の口から逃げて
3 自由貿易はいいことか?
4 好きなもの・欲しいもの・必要なもの
5 成長の終焉?
6 気温が二度上がったら…
7 不平等はなぜ拡大したか
8 政府には何ができるか
9 救済と尊厳のはざまで
結論 よい経済学と悪い経済学


ここに注目・言葉・名言

「貿易が引き起こす深刻な問題は、ストルパー=サミュエルソン定理が想定する以上に多くの負け組を生み出すことである。よって解決策は、解雇された人の移動や転職支援をして負け組の数を減らすこと、または補償を拡充することになるだろう」(p.139)


貿易が引き起こす深刻な問題

ストルパー=サミュエルソン定理とは、貿易によって、先進国に豊富な高技能(高学歴)労働者の賃金が上昇し、低技能(低学歴)労働者の賃金が低下し、両者の賃金格差が拡大するというものです。

貿易によって恩恵を受けるというのはあります。

安く品質がそこそこのものを手に入れやすくなるとか。

しかし、貿易で影響を受ける産業にいる人たちは、解雇などをされてしまう。

ということで、移動や転職支援をするということです。
が、これが意外とむずかしいということも、本書では書かれていますね。

成長の要因は?

「富裕国の成長要因がわからないのと同じく、貧困国についても誰もが納得する決定的な成長の処方箋は見当たらない。今日では、専門家もこの事実を認めている。」(p.270)

成長の要因がわからない

経済成長を目指す。

多くの国が挙げている目標でしょう。

しかし、その要因、原因がわかっていない。

経済学を少し学ぶとわかると思いますが、経済成長の決定的な要因が出てこない。

貿易なのか、イノベーションなのか、人口増なのか。
これらや他の組み合わせなのか。
それとも、他の要因があるのか。

いずれにしても、過去の成長事例において、似ているものがないことがわかっているので、決定的なことはわからないということです。

『絶望を希望に変える経済学』を読んで思ったこと

「根拠のない考えに対して私たちにできる唯一のことは、油断せずに見張り、「疑う余地はない」などという主張にだまされず、奇跡の約束を疑い、判明した事実に誠実であることだ。」(p.467)

経済についてわかっていることは多くはないというか、決定的なことはそれほどないというか。
本当に知りたいことはまだわかっていない。

それでも、わかっていることから、実現したいことに向けて行動していく。

経済学にできることは限られているかもしれないが、できること、必要なことを知見を活かしながらやっていく。

そんなことを、本書を読みながら思いました。


▼ あわせて読みたい ▼

『善と悪の経済学』トーマス・セドラチェク

『善と悪の経済学』経済学は人間の物語。トーマス・セドラチェク - ビジネス書をビジネスのチカラに。書評ブログ

 

 

こちらの『善と悪の経済学』は、人間の物語としての経済学、善と悪や、人間の欲望といったところから、経済を捉えてみる、そのような経済学について書かれています。

経済や経済学を理解したい方が読まれると、参考になると思います。
こちらもあわせて読んでみてください。

 

『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』

 アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ

www.youtube.com

最初のほうにも書きましたが、本書だけで絶望が希望に変わるかというとむずかしいかもしれません。

それでも、経済学でどこまでわかっているのか、わかっていないのかを知ることができるので、読んでみると興味深く読むことができると思います。

おすすめ度

  ★★★★☆

 ノーベル経済学賞を受賞したアビジット・V・バナジー氏とエステル・デュフロ氏が、社会的な問題に関連する経済学などについて書かれています。
 経済や経済学に興味がある方は読んでみてください。


おすすめしたい方

経済に興味がある方。
ビジネスパーソン。

『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』

 アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ

絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか (日本経済新聞出版)

今日の読書「ビジネス書をチカラに!」

成長の決定的な要因はわからない

わからない中でどうするか?