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『「協力」の生命全史: 進化と淘汰がもたらした集団の力学』ニコラ・ライハニ


『「協力」の生命全史』ということで、生命の歴史などから、協力ということについて考察などされています。

協力することを、生命や進化論などから考えたい方が読まれると、興味深く読むことができると思います。

『「協力」の生命全史: 進化と淘汰がもたらした集団の力学』ニコラ・ライハニ

『「協力」の生命全史: 進化と淘汰がもたらした集団の力学』ニコラ・ライハニ

『「協力」の生命全史: 進化と淘汰がもたらした集団の力学』ニコラ・ライハニ

目次

 はじめに

第1部 「自己」と「他者」ができるまで
 第1章 協力を推し進めるもの
 第2章 個体の出現
 第3章 体のなかの裏切り者

第2部 家族のかたち
 第4章 育児をするのは父親か母親か
 第5章 働き者の親と怠け者の親
 第6章 人類の家族のあり方
 第7章 助け合い、教え合う動物たち
 第8章 長生きの理由
 第9章 家族内の争い

第3部 利他主義の謎
 第10章 協力の社会的ジレンマ
 第11章 罪と協力
 第12章 見栄の張り合い
 第13章 評判をめぐる綱渡り

第4部 協力に依存するサル
 第14章 他人と比較することへの執着
 第15章 連携と反乱
 第16章 パラノイアと陰謀論
 第17章 平等主義と独裁制
 第18章 協力がもたらす代償


『「協力」の生命全史』のここに注目・言葉・名言

「お察しのとおり、人々はたいてい自分の評判が大事であると認識しているかのように振る舞う。人々は自分の行動が他者に知らされる場合、知らされない場合と比べて気前よく振る舞う傾向にあることが 数えきれないほどの実験で示されている。知識のある政策立案者は、こうした研究成果を利用して、社会的に好ましい行動を低コストで市民に勧めることができる。2013年、アメリカの研究チームがカリフォルニアの電力会社と共同でこんな研究をした。エネルギー需要が高い期間にエネルギー供給を抑制する装置を設置する電力会社のプログラムへの参加を、評判を誘因にして促すことができるかどうかという研究だ。この会社は以前、この需要抑制プログラムに参加した各世帯に25ドルの報奨金を提供していた。それが参加を促す最も単純で効果的な方法であると、会社は思い込んでいたのだ。
しかし、研究チームは違う案を出した。アパートメントのある区画の目立つ場所に、登録用紙を掲示するという案だ。こうすることで、住民は自分がこのプログラムに参加したことを広く知らせることができるだけでなく、近所の誰が参加したかを確認することもできる。電力会社が驚いたことに、自分の善行を他者に知らせるというこの単純な手法は、報奨金と比べて7倍以上の効果があった。」
(p.186)

他人の評判を気にする

人は、他人の評判を気にするというのがあるということで、こういう方法もあると紹介されています。

協力を促す方法として、他人の評判を活用するというのは、強力な方法なのでしょう。

他人の評判をうまいこと活用して、行動などを促せるようにしたいものですね。

他の人の存在が脅威に

「このように過度にグループ分けを好む私たちの心理は、皮肉にもヒトの過度に協力的な性質から生まれたものだ。最初期のヒトは互いに力を合わせることにより、自然のなかで直面する困難をだんだん乗り越えられるようになり、食料の欠乏、水の不足、危険な捕食動物の問題はどれも協力を通じて軽減することができた。しかし、その結果、
ほかのヒトの存在が主な脅威となった。ヒトは自然との戦いをしなくなり、ヒト同士で戦うようになったのだ。こうした状況で、進化は社会的な能力に重きを置いたのだろう。自分自身の社会的な支援ネットワークの構築と整理、出会った他者の交友関係や同盟の監視、そして、何よりも重要なのは社会的な脅威の検知と回避の能力だ。こうした脅威の検知システムがうまく働けば、自分に危険が及ぶことはない。しかし、検知に失敗すれば、自分自身が危険な存在になるおそれがある。」(p.244)

ヒト同士で戦うように

人は、自然との戦いをしなくなって、人同士で戦うようになった、ということです。

グループ分けをすることが、協力を生むという面がありますが、それは、ウチとソトという区別を生んで、「味方」と「敵」を作りやすくなることになってしまったということですね。

そして、自然の脅威が減ったことで、今度は、自分たち以外の人を敵とする、仲間以外は「敵」や脅威と見なすようになった。

こうして、人同士で戦うようになったということです。

思ったこと

「ヒトの社会における権力分散を大規模な綱引きとして考えるのが最も理にかなっているというのが私の見解だ。綱の一端には個人が他者を支配したいという衝動がある(これは大なり小なりすべての人に存在する)。才能や技能、能力、あるいは幸運な状況を利用して、ほかの人々より少しだけ高い地位を手に入れたいという衝動だ。網の反対側で引っ張るのは、要約すれば他者の集団的利益の力である。綱引きの例にもれず、たいていはどちらか一方の側が優勢になる。一部の社会や、歴史上の一時期には、「集団的利益」チームが優勢のように見えることもあるだろうが、時期によっては「個人の利益」チームのほうが強く引いているように見えることもある。そのとき、エリート(専制君主、皇帝、独裁者)の小さな派閥が、はるかに大きな集団を征服し、厳しく支配するのだ。」
(p.264)

個人の利益と集団の利益の綱引きということです。

こういったことと合わせて、仲間以外の集団との争いなどにも関係しているのでしょう。

他者と協力するかどうか、個人の利益を優先するか、そして、他者と争うか。

こいったことを綱引きしているわけですね。

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『TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学』橋本 竜也

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こちらは、チームパフォーマンスの科学ということで、チームのパフォーマンスを上げるのための方法が書かれています。

マネジャーやリーダーの方が読まれると、参考になることが見つかると思います。

『「協力」の生命全史: 進化と淘汰がもたらした集団の力学』

おすすめ度

★★★★☆

協力ということについて、進化や淘汰などから書かれています。
協力について歴史的な観点から考えたい方が読まれると、参考になることが見つかるかもしれません。

おすすめしたい方

協力することに興味がある方。
ビジネスパーソン。

今日の読書「ビジネス書をチカラに!」

協力を促す方法として、他人の評判を活用する

協力するために、どうしますか?