行動科学は面白いですよね。
ただ、どうやってビジネスやマーケティングに応用すると良いかはわかりにくいところです。
本書では、16と1/2の心理バイアスから、ビジネスにどう実践すると良いかなどが書かれています。
- 『自分で選んでいるつもり: 行動科学に学ぶ驚異の心理バイアス』リチャード・ショットン
- 『自分で選んでいるつもり』ここに注目・言葉・名言
- 割引は、どのように伝えるとよく売れるか?
- 『自分で選んでいるつもり』で取り入れたいと思ったこと
- あわせて読みたい
- 『自分で選んでいるつもり: 行動科学に学ぶ驚異の心理バイアス』
『自分で選んでいるつもり: 行動科学に学ぶ驚異の心理バイアス』リチャード・ショットン
目次
はじめに――行動科学は最強の武器である
サブリミナル広告?
マインドコントロールはでまかせ――それなら、何が頼りになるのか
ピアレビューというよいプレッシャー
第1章 習慣形成
習慣の重要性を定量化する
行動科学を応用するには
第2章 簡単にする
摩擦を取り除く
行動科学を応用するには
第3章 面倒にする
ドア・イン・ザ・フェイスのテクニック
行動科学を応用するには
第4章 産出効果
行動科学を応用するには
第5章 キーツ・ヒューリスティック
行動科学を応用するには
第6章 具体性
視覚は「もっとも鋭敏」?
行動科学を応用するには
第6と1/2章 緻密さ、細かさ
キリのいい数字よりも、細かすぎる数字
行動科学を応用するには
ボーナスチャプター ベースバリュー・ネグレクト効果
行動科学を応用するには
第7章 極端回避
B2BでもB2Cでも
行動科学を応用するには
第8章 分母無視
行動科学を応用するには
さらに広い視野で応用するには
第9章 実験の必要性
行動科学を応用するには
第10章 フレーミング
フレーミングが重要となる理由
行動科学を応用するには
第11章 公正さ
公正さを求める根深い習性
公正さの認識は消費の行動にも影響する
行動科学を応用するには
第12章 選択の自由
行動科学を応用するには
ここから先を読むかどうかはあなたの自由です
第13章 レッドスニーカー効果
行動科学を応用するには
第14章 ハロー効果
実験によるエビデンス
ハロー効果が生じる理由
行動科学を応用するには
第15章 ウィットのパワー
行動科学を応用するには
第16章 ピーク・エンドの法則
行動科学を応用するには
おわりに
『自分で選んでいるつもり』ここに注目・言葉・名言
「緻密さのパワーを利用する
細かさの発見に注目したい理由は、ほとんどのマーケティングがこの正反対の状態になっているからだ。マーケティングでは、わかりやすくしようと、統計値をまるめることが多い。たとえば有名な保険ブランドが、「100万人以上のお客様」が契約していると主張する。あるいはマーケティングについて教える書籍が、消費活動に影響を与える行動バイアスを25種類解説している、と謳う。
だが、シンドラーらの研究を見る限り、どうやら両方とも失敗らしい。保険ブランドは、「115万人以上のお客様」など、細かい数字で主張したほうがいい。マーケティング本の著者も、次作は25種類ではなく、16と½個の行動バイアスを解説すると謳ったほうがいい。」(p.117)
数字は、細かいほうが説得力がある
数字は、まるめたくなりますよね。
四捨五入したほうがわかりやすいかと思ってしまいます。
しかし、細かいほうが説得力などはあるようです。
本当だと思いやすいというのがあるのでしょう。
このメルマガ、ブログで言えば、「3000冊以上紹介してきました」と言うよりも、「3229冊紹介してきました」と言ったほうが、正確ですし、本当だと思ってもらいやすい(というか本当ですが)、説得力が増すということになるということです。
正確な数字を細かいながらも、出していくのは有効のようです。
割引は、どのように伝えるとよく売れるか?
「割引は、元値との比較で示す
マーケティングへの応用方法をもう一つ紹介したい。2016年、
サウスカロライナ大学のアビジット・グハが、スウェーデンにある食料品店4店舗で、一般的な家庭用品や食品(シャンプー、紙ナプキン、コーヒー、生クリーム)を対象とした調査をしている。
注目したのはセールスメッセージの違いだ。いずれの場合もポスターに元値と売値を両方とも掲示した。ただし、半分のポスターでは割引後の値段を強調し(例「定価より31%安くなっています!」)、残りの半分のポスターでは元の値段が高かったことを強調した(例「定価なら44%割高に!」)。
結果を見ると、「今は安い」よりも「前は高かった」と謳ったときのほうが、4種類の商品の売上は倍も多かったことがわかった。」
(p.149)」
割引は、元値との比較で示す
これは意外な結果かもしれません。
10%割引などと言ったりしているものが多いですよね。
売れるからかと思いましたが、前はもっと高かったと言ったほうが売れるそうです。
「定価なら10%割高」と伝えたほうが良いようです。
実際にどうなのかは、やってみたらわかりそうですね。
倍も売り上げがアップするかはわからないですが、実際どうかは、確かめる価値はありそうです。
『自分で選んでいるつもり』で取り入れたいと思ったこと
「ロイヤルティプログラム成功のカギは、不確実な報酬
不確実な条件のほうが期待効用〔訳注得られると予想される満足度]は低かったにもかかわらず、こちらのほうがモチベーションをかきたてる力は強かった。
「どっちが出るだろう」と思うワクワク感が、金額とは別の価値をもたらしていたというわけだ。
消費者になんらかの行動を促したいときも、不確実性を活用するといい。会員特典プログラムがあるなら、全員に毎回必ず同じ特典を出すのではなく、ランダム性を混ぜるのだ。
イギリスのコーヒーチェーン、プレタ・マンジェ(通称「プレット」)は、このアプローチで売上アップに成功した。コーヒーを1杯買うごとにスタンプを貯めて無料の1杯と引き換えるプログラムはよくあるが、プレットでは、店員がランダムにコーヒーをサービスする。この作戦のほうが、購入回数に応じたアプローチよりも、客は大きな
喜びを感じる。」(p.36)
ランダムな報酬のほうが、驚きなどがあるからか、喜びを感じやすいのかもしれません。
ポイントなども、いつも同じよりは、ときどき大きく出ると、また続けたくなるというのはありそうです。
いずれにしても、ロイヤルティプログラムなどは、ランダムな報酬のほうが良いようです。
あわせて読みたい
『欲望の錬金術: 伝説の広告人が明かす不合理のマーケティング』ローリー・サザーランド
こちらは、広告会社オグルヴィの英国支店の副会長、ローリー・サザーランド氏が、人の欲望や行動について、心理学や行動学などの視点を織り交ぜつつ、マーケティングの視点などが書かれています。
マーケティング担当などの方が読まれると参考になるはずです。
『自分で選んでいるつもり: 行動科学に学ぶ驚異の心理バイアス』
おすすめ度
★★★★☆
行動科学をマーケティングに応用する専門家のリチャード・ショットン氏が、心理バイアスなどから、マーケティングに応用する方法について書かれています。
人間心理などから、マーケティングなどに応用したい方が読まれると、参考になることが見つかるはずです。
私は、読んでよかったです。
おすすめしたい方
マーケティング担当者。
ビジネスパーソン。
経営者。
今日の読書「ビジネス書をチカラに!」
数字は、細かいほうが説得力がある
細かい数字を伝えていますか?