広告会社オグルヴィの英国支店の副会長、ローリー・サザーランド氏の著書です。
人の欲望や行動について、心理学や行動学などの視点を織り交ぜつつ、マーケティングの視点などが書かれています。
『欲望の錬金術: 伝説の広告人が明かす不合理のマーケティング』
ローリー・サザーランド
目次
第1章 ロジックの乱用
第2章 心理(サイコ)ロジックの応用
第3章 シグナリングの驚くべき魔力
第4章 自分自身の潜在意識をハッキングする
第5章 単純化し、合理化し、効率化することの危険
第6章 知覚される世界と現実の世界
第7章 錬金術師のテクニック
『欲望の錬金術』ここに注目・言葉・名言
「行動が先。考え方はそれを持続させるために変化する。」(p.437)
「この章で見てきたように、重要なのは行動だけだ。行動を起こすための理由ではない。理由を与えれば、人々は行動しないかもしれない。だが、行動を与えれば、彼らは苦もなく自分で理由をこしらえてしまうだろう。」
行動の選択肢を
人の考えを変えるのは、簡単ではないと言われています。
確かに、他人の思考や感情を変えるのは、簡単ではないと、それなりの時間生きていると感じることは多いのではないでしょうか。
しかし、行動の選択肢を提示すると、人は、良さそうなほうを選択することが多いということがわかっています。
ただ、これは、必ずしも合理的であるほうの選択肢とは限らないですし、感情や背景に左右されるということもわかっています。
人の行動を変えたいのであれば、選択肢を適切に表現できることが、必要なのだということですね。
会員登録せずに買い物をする
ゲストとして実行(p.467)
「次の図に存在する短い文と1つのボタンの組み合わせは「3億ドルのボタン」と呼ばれ、ウェブデザイナーやユーザー体験に関する記事にしばしば掲載されている。最初に登場したのは無名の小売業のウェブサイトだった。」(p.466)
「ゲストとして実行」ボタン
ゲストとして支払って、買い物をすることができるようにして、売り上げを増やしたウェブサイトの話です。
会員登録をしないで、商品を販売する。
会員登録したくない人が多いので、ゲストとして購入できるようにして買い物を楽にしたわけですね。
これで、売り上げが増えたということです。
思ったこと
本書では、合理的なことよりも、心理や感情に目を向けようということがかなり書かれています。
ただ、これこそ合理的な話だと思います。
人は、心などで動きやすいという、理屈ですから。
人の行動は、心理などを大切にしがちという話なのですが、さらにそこから考えると、心理というよりも、行動をどう促せるかの話のようにも思えます。
行動しやすい選択肢を提示して、行動してもらう。
行動の理由は後付け。
そういったことがわかる、非合理のような話ですが、ある意味「合理的」な因果があるとわかると、どうすることが良いのか考えやすくなると思いました。
あわせて読みたい
『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』
ターリ・シャーロット
『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』 - ビジネス書をビジネスのチカラに。書評ブログ
こちらの『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』は、事実が人の意見を変えない理由などが書かれています。
事実で意見を変える人は少ないのかもしれません。
とすると、人の意見を変えたいなら、どうすると良いのかというのが出てきますね。
そんな疑問を持っている方が読まれると、参考になると思います。
『欲望の錬金術: 伝説の広告人が明かす不合理のマーケティング』
おすすめ度
★★★★☆
広告会社オグルヴィの英国支店の副会長、ローリー・サザーランド氏が、人の欲望や行動について、心理学や行動学などの視点を織り交ぜつつ、マーケティングの視点などが書かれています。
マーケティング担当などの方が読まれると参考になるはずです。
おすすめしたい方
マーケティング担当者。
経営者。
今日の読書「ビジネス書をチカラに!」
行動の選択肢を
適切に、行動の選択肢を提示していますか?