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『イノベーション全史』木谷哲夫。イノベーションの今までとこれから


イノベーション全史ということで、産業革命以来の、主な技術のイノベーションなどについて書かれています。

今後のイノベーションを考える際の参考にできると思います。

『イノベーション全史』木谷哲夫

『イノベーション全史』木谷哲夫

『イノベーション全史』木谷哲夫

目次

第1章 アニマルスピリット
第2章 黄金時代の準備
第3章 「超」イノベーションの時代 
第4章 「特別な世紀」の立役者たち 
第5章 日本の特別な世紀
第6章 「特別な世紀」の終わり
第7章 衰退の自覚
第8章 聖地の誕生
第9章 半導体の誕生 
第10章 ベンチャーキャピタルの誕生
第11章 デジタル・ゴールドラッシュ
第12章 ムーアの法則の爆発的威力
第13章 AI・IoTのインテリジェント・ソリューション
第14章 日本の勝ち筋
第15章 今も続く「超」イノベーションの恩恵
第16章 「超」イノベーション番付
第17章 宇宙の「超」フロンティア
第18章 量子コンピューター、次のイノベーション論

『イノベーション全史』ここに注目・言葉・名言

「「超」イノベーションが人間存在をがらりと変えた

1870年から1970年までの100年間は、「超」イノベーションが世界をガラリと変えた時代でした。
ノースウェスタン大学のニューケインジアンの経済学者ロバート・J・ゴードンは、最近の著書の中で、一九世紀から二〇世紀にかけての「特別な世紀」(ゴードンによると1870年から1970年)には、公衆衛生の進歩、電力、自動車、航空機、通信技術などの一連の画期的な発明によって、経済成長と生活水準の飛躍的な向上がもたらされたとしています。
その一方、「特別な世紀」以降(1970年以降)のイノベーションが我々にもたらす変化は当時と比較すると鈍化しているとして、当時のような飛躍的な変化は見られないとしています。たとえば、空間的な移動の場合、「特別な世紀」における変化は巨大なもので、アメリカの東海岸から西海岸に行くのに、陸路ではなくパナマ運河を経由して船で行っていたのが、大陸横断鉄道の開通により簡単に西海岸に行けるようになりました。さらにはライト兄弟の発明で飛行機が誕生してから数十年で、定期航空便が開通し、一般人でも飛行機で行けるようになります。

それに比べて最近では、イーロン・マスクのハイパーループ(編集部注:密閉または低気圧のチューブ内を乗車用ポッドが空気抵抗や摩擦を受けずに走行する交通手段)のようなアイデアはあっても実用化はできておらず、空間的な移動の面では、画期的な発明によって人々の生活が一変するというようなことは起こっていません。」
(p.78-79)

「超」イノベーションが人間存在をがらりと変えた

1870年から1970年までの100年間は、「超」イノベーションが世界をガラリと変えた時代だったということです。

移動や産業、農業などで、こういったことは起こったと言えると思います。

一方で、1970年以降は、そこまでではないのかもしれません。
(インターネットがありますが)

そう考えると、これからどうなるのかは、興味深いところです。

「資本主義のオリンピック」

「「資本主義のオリンピック」

「大組織」から「個人」へ、「集権化」から「分散化」に、アメリカ社会の潮流が大転換します。シリコンバレーがその震源地でした。
反戦運動や人種差別撤廃などアメリカ社会全体が高度に政治化していた1970年代に、シリコンバレーの人々はそうした世の中に背を向け、自分の生き方に勤しんでいました。
シリコンバレーの精神を三つに要約して箇条書きにすると、次のようになります。

1 一生懸命働く
2 優れたテクノロジーを築く
3 その結果、たくさんのお金を稼ぐ

シリコンバレーに移り住んでこの生き方を実践した彼らは全員がよそ者で、地域と社会的な絆はありませんでした。つまり、世界中から猛者が特定の一都市に集中する、いわばオリンピック状態です。この場合はスポーツではなく、資本主義、イノベーションと起業のオリンピックでした。彼らの人間関係は同業種の中だけで、地域社会の住民から見ると、「怪しいよそ者」だったのです。」
(p.191-192)

シリコンバレー

そして、1970年代には、シリコンバレーから、イノベーションが起こってくるということです。

このあたりを知りたい方は、本書を読んでもらうとして、現在までのネットなどを含めたテクノロジーの変革の源流は、このあたりにあるということがわかります。

そして、これからどうなっていくのか。

取り入れたいと思ったこと

「コンセプト・ドリブン方式とは

リーンスタートアップの試行錯誤とは逆の方式として、インベストメント・セシス(InvestmentThesis)方式があります。インベストメント・セシスとは、ベンチャー
キャピタリストが投資委 員会に自分の投資案件を売り込むための提案書になります。 
セシスとは論文のことです、辞書で Thesisの意味を検索すると、学位論文、卒業論文、論題、 題目、(学校の)作文、(論証さるべき)命題、定立、テーゼと出てきます。
インベストメント・セシス方式とは私が知人から聞いたもので、一般的な用語とはなっていませんが、将来的に脚光を浴びそうな分野、比較的競合が少ない、空いている分野を狙い、人工的にスタートアップを作る方式を指しています。

たとえば、量子コンピューターのスタートアップ、ということだけだと投資対象としては、いまひとつです。なぜなら、先行する競争相手がひしめいており、勝算が低いからです。
ところが、量子コンピューターが実現された段階で次の暗号化を考えるビジネスなら、勝算はあるでしょう。量子暗号化サービスを衛星経由で提供するサービスを掲げるスタートアップについて既述しましたが、「量子コンピューター」×「暗号化」×「衛星経由」ということであれば 、先行者となり勝てる可能性も出てきます。」
(p.375)

あわせて読みたい

『Amazon Mechanism (アマゾン・メカニズム)― イノベーション量産の方程式』
 谷 敏行

www.biztikara.com

 

こちらは、Amazonのイノベーション量産の方程式、方法などについて書かれています。
Amazonからイノベーションについて学びたい方が読まれると、
参考になることが見つかると思います。

『イノベーション全史』木谷哲夫


おすすめ度

★★★★☆

イノベーション全史ということで、産業革命以来の、主な技術のイノベーションなどについて書かれています。
今後のイノベーションを考える際の参考にできると思います。

おすすめしたい方

ビジネスパーソン。
経営者。

今日の読書「ビジネス書をチカラに!」

 「超」イノベーションが人間存在をがらりと変えた

これからのイノベーションはどうなる?