ビジネス書をビジネスのチカラに。書評ブログ

ビジネス書の書評ブログ。ビジネス書の紹介、ビジネス書の名言・言葉などを紹介しています。本の書評・感想レビュー

【メルマガ登録】(無料)まぐまぐ殿堂入りメルマガ  メルマガで読みたい方は、ぜひご登録を!
知識をチカラに
(マガジンID:0000139905) Powered by まぐまぐ
メールアドレス:

 本を書きました。絶賛発売中です!→ 『1つのことを長く続けられる技術』  本の詳細 → 『1つのことを長く続けられる技術』

 
 

『利己的な遺伝子 利他的な脳』ドナルド・W・パフ。善行は駆け引きではない


脳神経科学者のドナルド・W・パフ氏が、利他的な脳について書かれています。

脳に利他性が備わっているということを説明されています。

『利己的な遺伝子 利他的な脳』ドナルド・W・パフ

『利己的な遺伝子 利他的な脳』ドナルド・W・パフ

『利己的な遺伝子 利他的な脳』ドナルド・W・パフ

目次

日本版序文
はじめに
第一部 利他的脳の科学的根拠
第一章 利他主義の進化論的ルーツ
第二章 利他的脳のメカニズム
第三章 利他的脳の科学的解明
第四章 利他的行動を促す神経とホルモン
第五章 利他的脳理論と普遍的倫理のつながり

第二部 利他的脳を向上させる
第六章 利他的脳理論によって何が変わるか
第七章 なぜ利他的脳が重要なのか?
第八章 利他的脳理論を社会に活かす
第九章 利他的行動を促進するには

『利己的な遺伝子 利他的な脳』のここに注目・言葉・名言

「善行は駆け引きではない
まとめよう。脳は利他的脳理論の五つのステップを通して、神経科学的メカニズムを実行し、利他的な行動を生成する。ここで強調しておきたいのは、そのような行動は、ある人が他人のために何か善行をし、(その相手も自分のために善行をしてくれると思うから)、その後、相手が(義務感から)善行を返すという「駆け引き」の一部ではないということだ。先ほど述べた脳のメカニズムには、そういった計算は含まれない。
また、宗教的な訓練や社会的条件づけも含まれない。むしろ、そのメカニズムが起きるのは、人間の脳が利他的であるよう回路づけされているせいだ。そしてもちろん、それには互恵的な利他主義も含まれている。

一つ例を挙げてみよう。この章を書く少し前に、私は地下鉄のホームに立っていた。そこに一人の老人が、食料品でいっぱいのカートを押しながら電車から出てきた。
出口に続く階段に着いた老人は、足を止め、どうすればカートを引き上げられるか考えていた。その時、電車に乗ろうとしていた若者が「待って、僕がやってあげよう」と言って、階段の上までカートを引っ張り上げた。若者がホームに戻ってきた時、乗ろうとしていた電車はすでに出発していた。」(p.095)

善行は、人間の脳が利他的であるよう回路づけされているから

利他的な行動、善行は駆け引きというよりは、人間の脳が利他的であるよう回路づけされているからということです。

もちろん、駆け引きというかリターンがあるから良いことをしようということもあると思います。

ただ、脳にも、利他的になるメカニズムがあるということです。

他人からのイメージで悪いことをする

「この厳しい分析は黒人男性を対象としているが、あらゆる人間にも適用可能である。常に社会の無関心に苦しんできた人は、そのような決めつけに抵抗できる強い自己意識を獲得できず、最もたちの悪いイメージの「自分自身」にしがみついてしまう。社会の中で機能し、社会的規範を受け入れる能力が放棄され、まさに、他人に投影された通りの自分になってしまうのだ。この症候群の例は、研究でも実証されている。
逆に、利他的脳理論などを認識することによって、まともな行動をとる自分の能力を確信していれば、他者から受容されやすくなるし、最後までやりぬく自信も持てるだろう。だからこそ、人間には善良でありたいという先天的な傾向があると理解することは、有用なのである。」
(p.203)

利他的な脳理論

脳が利他的だとしたら、悪行や他人に迷惑をかけるなどを、なぜ人間がしてしまうのか。

一つには、周りや社会からのイメージで、その通りに動いてしまうということです。

黒人男性が、黒人の社会のイメージに沿って行動してしまうということが例として挙げられていました。

これに対して、脳が利他的な仕組みがあると知っていれば、社会的なイメージなどに対抗することも可能になってくるだろうと、著者はしています。

それだけで十分ではないかもしれませんが、社会イメージなどに対抗するための一つの理由にはなりそうです。

取り入れたいと思ったこと

利他的な脳は、「仲間意識」とも繋がっているよう(p.296)で、これは「仲間以外」を排除する力にもなるようです。

だから争いにつながるということのようですが、人間同士なのですから、人間として仲間だと考えられるようになると利他的な行動や思考につながっていくと思います。

利他的な脳を、排他的なことに使うのではなく、協力的に使いたいものです。

あわせて読みたい

『「協力」の生命全史: 進化と淘汰がもたらした集団の力学』ニコラ・ライハニ

www.biztikara.com

 

こちらは、協力ということについて、進化や淘汰などから書かれています。
協力について歴史的な観点から考えたい方が読まれると、
参考になることが見つかるかもしれません。

『利己的な遺伝子 利他的な脳』ドナルド・W・パフ

 

おすすめ度

★★★★☆

脳神経科学者の著者が、利他的な脳について書かれています。
脳の利他性のメカニズムを知りたい方が読まれると、参考になると思います。
こういうメカニズムがあると知ることは有用ですね。

おすすめしたい方

利他性について興味がある方。
ビジネスパーソン。

今日の読書「ビジネス書をチカラに!」

善行は、人間の脳が利他的であるよう回路づけされているから

利他的な脳を有効活用していますか?