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『人はどこまで合理的か 上下』スティーブン・ピンカー 


人はどこまで合理的か、どこまで合理的ではないのか。

本書のテーマというか、この点について書かれています。

ハーバード大学の人気講義だそうです。

『人はどこまで合理的か 上下』

『人はどこまで合理的か 上下』

『人はどこまで合理的か 上下』スティーブン・ピンカー 

目次

第1章 人間という動物はどのくらい合理的か

第2章 合理性と非合理性の意外な関係

第3章 論理の強さと限界はどこにあるか

第4章 ランダム性と確率にまつわる間違い

第5章 信念と証拠に基づく判断=ベイズ推論

第6章 合理的選択理論は本当に合理的か

第7章 できるだけ合理的に真偽を判断する

第8章 協力や敵対をゲーム理論で考える

第9章 相関と因果を理解するツールの数々

第10章 なぜ人々はこんなに非合理なのか

第11章 合理性は人々や社会の役に立つのか

 

『人はどこまで合理的か』のここに注目・言葉・名言

「真理、客観性、理性を支持する論述を耳にすると、あまりにも傲慢に思えて「絶対的真理を語るとは、いったい何様のつもりだ?」癪に障るという人もいるかもしれない。だが合理性を擁護することは決して傲慢ではない。心理学者のデーヴィッド・マイヤーズは一神教の信仰の本質をこう表現している。 (1)神は存在するが、(2)それはわたしではない(あなたでもない)。 これを宗教から切り離すと、(1)客観的真理はあるが、(2)わたしはそれを知らない (あなたも知らない)となる。

つまり、わたしたちを真理に導く合理性にも認識論的謙虚さが求められる。完全な合理性とか完全な客観的真理というのは人間にとっての願望であって、誰もそこに到達したと主張することはできない。しかし、それらは存在するという確信があるからこそ、わたしたちは誰もが従うべきルールを定めることができるのだし、またそうしたルールがあるからこそ、個人では近づけない真理に集団で近づくことができる。」(上・p.78)

人に合理性がないのなら

人に合理性がないのあら、ルールを決める必要はないですよね。

誰も守らないですから。

たいていの人は、理由のある合理的なルールであれば、守っている、
守っているように見えるのは、合理的であることの、ある程度の
証拠の一つにはなるでしょう。

それが、絶対的真理だとはならないでしょうけれど、
ある程度は、人は合理的なのだと言っても、間違ってはいないと
思われますね。

理性は情念の奴隷? 情念が理性の奴隷?

「理性は情念の奴隷? 情念が理性の奴隷?

わたしたちはいつでも理性に従わなければならないのだろうか? 恋をし、子供を愛し、人 生を楽しむのに、合理的な理由が必要だろうか? 時には無我夢中になり、ばかになり、考えるのをやめてもいいのではないか? 合理性がそれほど大事なら、わたしたちが合理性を陰気でつまらないものとしか思えないのはなぜだ? トム・ストッパードの戯曲『ジャンパーズ」に登場する哲学教授は、「教会は非合理の記念碑だ」という意見に次のように応じたが、これは正論ではないだろうか。」
(上。p.84)

「ストッパードの哲学教授はデイヴィッド・ヒュームの有名な記述、「理性は情念の奴隷であり、またそうでしかありえず、情念に仕え従う以外には何の役割も主張できない」に惑わされたのかもしれない。ヒュームは西洋思想史上でも最も冷徹な哲学者の一人で、この文章にしても読者に 衝動的に行動しろとか、後先を考えるなとか、相手かまわず恋に落ちてみろなどと勧めているわけではない。彼が論理的にいおうとしているのは、理性は目的を達成するための手段であって、その目的が何であるべきかは教えてくれないし、それを追求するべきかどうかさえ教えてくれないということである。そして「情念」とは、ここではそうした目的を生み出す源を意味している。すなわち好み、欲求、動機、感情、そしてわたしたちにもともと備わっている感覚などで、これらがなければ理性は目的をもてず、目的達成手段を考えることもできない。そこには考えることと望むことの違いがあり、何かを真実だと信じること何かを実現したいと望むことの違いがある。」(上。p.85)

両方では?

理性と情念。

人間の精神活動をこのように分けて考えることが多いですが、どちらが上とか下とかではなく、機能を分けて捉えているだけだと思います。

それを「人は感情の生き物」だと考えたりするから、おかしな話になってくるのでしょう。

どちらもあるし、状況やその人によって、どちらが優位かなどはあるでしょうけれど、どちらもありますよね。

理性も情念も、適切に活動できるようにすると、より良い人間になっていけるのだと思います。

取り入れたいと思ったこと

「回帰分析で重要なのは、方程式そのものよりも、方程式の構造が示している根本的発想である。すなわち事象には複数の原因があり、そのすべてが統計的だということだ。これはごく基本的な考え方のはずだが、公衆の言論では始終無視されている。」
(下。p.159)

因果を見つける際に、原因が複数あることが多いということは、人は忘れがち。もしくは、一つの原因に絞りたがるというのは、ありますね。

このあたりは、単純化したがる傾向があるのでしょうね。

複数の原因を考えて、重み付けなどすると良いのではないかと思います。

あわせて読みたい

『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』アダム・グラント

『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』アダム・グラント - ビジネス書をビジネスのチカラに。書評ブログ

こちらの『THINK AGAIN』は、再考の価値について書かれています。

再考の方法などについて考えたい方が読まれると、参考になることが見つかると思います。

『人はどこまで合理的か 上下』スティーブン・ピンカー 

おすすめ度

★★★★☆

感情だけではなく、理性や合理性を人間は限定的であれ、持っているということを考えたいという方が読まれると良いですね。
合理性に興味がある方が読まれると、参考になることが見つかるはずです。

おすすめしたい方

ビジネスパーソン。
経営者。

今日の読書「ビジネス書をチカラに!」

合理性にも認識論的謙虚さが求められる

傲慢になって、大切なことを見失っていませんか?