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『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー


原因を知ることは大切だと言われます。

ただ、それは簡単なことではないでしょう。

本書では、その原因というものをどのように推定していくのかといったことが書かれています。

『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』

『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』

『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー

目次

序 章 「因果推論」という新しい科学
第1章 因果のはしご
第2章 シューアル・ライトが起こした革命 ─因果推論創世記
第3章 結果から原因へ ─ベイジアンネットワークの真価と限界
第4章 交絡を取り除く ─ランダム化比較試験と新しいパラダイム
第5章 タバコは肺がんの原因か?─喫煙論争の煙を吹き飛ばす
第6章 パラドックスの詰め合わせ ─因果のレンズで世界を見る
第7章 介入─険しい山を登るための強力な道具一式
第8章 反事実 ─「こうであったかもしれない」世界を考える
第9章 媒介 ─因果関係の背後にはどんな仕組みがあるのか?
第10章 ビッグデータ、AI、ビッグクエスチョン

 

『因果推論の科学』ここに注目・言葉・名言

「反事実的推論の重要性

科学的な問いの中でも回顧的な思考が関わるものには、「反事実」と呼ばれる因果推論に特有の、別の種類の表現が必要になる。たとえば、ジョーが薬Dを服用して、一カ月後に死亡したとする。ここで問いのは、果たして薬Dは彼の死の原因なのか否かということだ。この問いに答えるには、ジョーは薬を服用しようとしていたが、結局は気が変わって服用しなかった、という架空の筋書きを想像する必要がある。この場合、果たしてジョーは死なずに生きているだろうか。

すでに書いたとおり、古典的な統計学はデータを要約するだけである。つまり、この問いを表現するための言語すら持っていないということだ。だが、因果推論にはそのための言語がある。また、よ り重要なのは、因果推論なら、この問いへの答えが得られるということだ。この問いへの答えを得るためには、介入の効果を予測する場合(これについてはすでに書いた)と同様、人間の回顧的思考をアルゴリズムで模倣することが多い。事実ではない架空の世界を観察し、その世界の観察結果から答えを導き出すのだ。この「反事実のアルゴリズム化」も、因果革命のもたらした重要な成果の一つだ。「もし~なら」を扱う反事実的推論を非科学的だと思う読者もいるかもしれない。この種の問いへの答えが正しいことも、誤っていることも、経験的観察では証明できないからだ。だが、私たち人間の知性は、もし世界が現実と違っていたらどうなるか、あるいはどうなっていたか、という問いについて、信頼性と再現性の高い判断ができる。」(p.25)

もし〜なら

もし〜なら、どうなるか?

これを考えることで、原因を考えやすくなるというのはあります。

もし、「日本政府」が円安に介入したらどうなるか?「日本政府」が円安に
介入しなかったらどうなっていたか?
金利をあげなかったらどうなるか?上げたらどうなるか?

事実ではない架空の世界を考えて、結果を推論する。

このような仮定のことを考えて、原因を推論する。

そして、そこから未来のことも考えられるかもしれません。

考えるAI・強いAIは作れるか?

「AIから人類への最高の贈り物

因果関係を理解し、エージェンシーとしての能力を持った強いAIは十分に実現可能だと私は考えている。ただ、そこで1950年代以降のSF作家たちと同じ問いが頭に浮かぶ。そういう強いAIの出現は私たち人間にとって脅威になるのか、という問いだ。私たちは、開けてはいけないパンドラの箱を開けることになってしまうのだろうか。

最近でも、 イーロン・マスクやスティーブン・ホーキングといった著名人たちが、AIは人間にと って脅威になると明言している。マスクは「AIは核兵器よりも危険な存在になる可能性がある」と言っているほどだ。ジョン・ブロックマンのウェブサイト (Edge.org) では毎年、「今年の質問」が 提示されるが、2015年の質問は「思考する機械についてあなたはどう考えているか」だったその質問に対しては、186もの思慮に富む、刺激的な答えが寄せられた(回答は『思考する機械について考えること』という本にまとめられている」(p.556-557)

自ら「考える」AI

考えるということはどういうことかというのはあると思うのですが、因果を考えるということは、思考の一つの特徴だろうと思います。

だとすると、因果を考えられれば、考えるAIと言えるのかもしれません。

そういう意味で、考える強いAIは作れるということなのかもしれません。

「思考するAI」が、将来のいつの日にか登場するというのはあるのかもしれませんね。

思ったこと

本書を読みながら思ったことは、原因の特定は、なかなか難しいということだったりします。

1つであれば、簡単かもしれませんが、複数が絡み合っていた場合は、どれが主要因なのかもわかりにくいでしょうし、何が発端なのかなどもわからないこともあるかもしれません。

そして、原因を知ることで、改善策を考えるというところまでいくとなると、さらに困難になっていきそうです。

そういうときでも、反事実的推論「もし〜なら」といったことを考えると、判断しやすくなるというのはありそうです。

原因や方向性を判断する際の参考にしたいと思いました。

あわせて読みたい

『人はどこまで合理的か 上下』スティーブン・ピンカー

 

こちらの『人はどこまで合理的か』は、感情だけではなく、理性や合理性を人間は限定的であれ、持っているということを考えたいという方が読まれると良いですね。

合理性に興味がある方が読まれると、参考になることが見つかるはずです。

『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』

おすすめ度

★★★★☆

因果推論ということで、原因と結果を考える科学ということです。
原因を見つけるための科学を知りたい方が読まれると、参考になることが見つかると思います。

おすすめしたい方

原因と結果について考えたい方。
ビジネスパーソン。

今日の読書「ビジネス書をチカラに!」

もし〜なら、どうなるか?

因果推論を考えてみる