本書は、ノーベル経済学賞受賞のロバート・J・シラー氏による著書です。
ナラティブ経済学ということで、「物語」が経済などに与える影響、そしてそのような経済学について書かれています。
『ナラティブ経済学: 経済予測の全く新しい考え方』ロバート・J・シラー
『ナラティブ経済学』の目次
はじめに ナラティブ経済学とは何か
1部 ナラティブ経済学の始まり
1 ビットコインのナラティブ
2 一致性の冒険
3 感染、群れ、合流
4 なぜ一部のナラティブが流行るのか
5 ラッファー曲線とルービックキューブの大流行
6 経済ナラティブのヴァイラル性に関する様々な証拠
2部 ナラティブ経済学の基礎
7 因果性とナラティブ群
8 ナラティブ経済学の7つの主張
3部 繰り返される経済ナラティブ
9 反復と変異
10 パニックと不安
11 倹約VS顕示的消費
12 金本位制VS金銀両本位性
13 労働節約機械が多くの職を奪う
14 オートメーションとAIがほとんどの職を奪う
15 不動産バブルとその崩壊
16 株式市場のバブル
17 ボイコット、不当利益、邪悪な企業
18 賃金物価スパイラルと邪悪な労働組合
4部 ナラティブ経済学の将来
19 未来のナラティブ、未来の研究
『ナラティブ経済学』のここに注目・言葉・名言
「本書で示したナラティブ経済学への洞察は、情報技術やソーシャルメディアの最近の進歩とも整合している。というのもこれらは物語が世界中に運ばれ、ミリ秒単位でヴァイラルとなる道筋だからだ。そしてそれは経済行動に大きな影響をおよぼす。だが本書はまた、通信がもっと遅く、物語が電話や、トラックや列車の配達する新聞経由で繰り返された、もっと長い歴史範囲も検討している。」(p.14)
物語が、ヴァイラルで広がる現代
SNSやウェブの発達で、人々の言葉や物語が、より簡単に広まるようになりました。
ヴァイラルで広がる時代と言っても良いのかもしれません。
そして、ナラティブ経済学は、そんな時代に生きてくるのかもとも思います。
ヴァイラル性
「ここから得られる教訓は、経済史を含む歴史は、それを理解しようとしたり世間的なコンセンサスを得ようとしたりする後のナラティブが示すような、出来事の論理的なシーケンスではないということだ。大事件が起こるのは、ちょっと高い感染率を持つナラティブの、一見するとどうでもいい突然変異、ちょっと低い忘却率、先行者優位などが、競合するナラティブ群の一つを頭一つ抜きん出るようにするからだ。そうしたランダムな事象がフィードバックを起こし、もっと大きくて広まるナラティブ群にフィードバックされるのだ。」(p.67)
ちょっとした違いから広まる
大きな違いが、大きな広がりにつながるというよりは、ちょっとした違いが大きな広がりになるということです。
ちょっとした違いを、いくつか重ねることで、大きな違いになるのでしょうね。
SNSや動画サイトの投稿などで、なんでこんなに広まっているのか、というようなものもありますよね。
それらも、ちょっとしたことが積み重なって、大きく広まっているということなのかもしれません。
思ったこと
物語る。話す。
人は、そういう生き物ですよね。
そして、その物語、ナラティブが、経済に影響しているというのはあると思います。
そのあたりが、ナラティブ経済学ということなのでしょうね。
あわせて読みたい
『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』デレク・トンプソン
『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』デレク・トンプソン
こちらの『ヒットの設計図』は、ヒットを生み出すために、どうするか?
ヒット商品には、何が必要か。
そんなことが書かれています。
ヒットを生み出したい方が読まれると、参考になることが見つかると思います。
『ナラティブ経済学: 経済予測の全く新しい考え方』ロバート・J・シラー
おすすめ度
★★★★☆
経済と物語。
その関係などに興味がある方が読まれると、興味深く読むことができると思います。
物語から経済を見たい、そんな方が読まれると良いでしょう。
おすすめしたい方
ビジネスパーソン。
経営者。
今日の読書「ビジネス書をチカラに!」
物語が、ヴァイラルで広がる現代
ナラティブと経済の関係を考えてみる