『貧困なき世界』ジャスティン・リン
本の目次
第1章 新たな難題と新たな解決策
第2章 ナラティブの戦いとパラダイムの変化
第3章 経済開発―失敗から学ぶこと
第4章 追上げ国の成功から得られる教訓
第5章 経済発展再考のための枠組み―新構造主義経済学
第6章 新構造主義経済学では何が違うのか
第7章 新構造主義経済学の実践―二つの工程と六つの手順
第8章 移行経済の特性と経路
第9章 より高い発展段階における構造変化の促進
第10章 経済発展の処方箋
開発経済学
本書は、途上国などの成長などを研究する、開発経済学というものを、成長という観点から書かれたものです。
これまで、成長に成功した国々がとったアプローチから、どのような方法が成功しやすいのか、ということが書かれています。
途上国の成長にはどういうことが必要なのかがわかる一冊です。
比較優位を追求する
「もし比較優位を追求する戦略が構造変化や持続する成長を実現するうえでの聖杯であるとすれば、次の論理的質問は、それをどのように実現するのか、である。今日の先進諸国が成長の初期段階に置いて歴史的に経験したことを考察すると、経済発展における国家の役割を示すことで成功への鍵を提供してくれる。」(p.119)
他国に比べて優位なことを追求する
比較優位を追求することが、国の発展に寄与するということが、歴史的に見てみるとわかることということです。
他国に比べて優位なこと。これをどうにか見つけるか、作り出して、成長に寄与するようにする。
こういうことです。
これは、日本の発展を考えるとわかりやすいでしょう。工業で輸出することで、比較優位を作っていったということです。これは、官民上げての「政策」「戦略」だったのだろうと思いますが、こういうことを考えて、追求していくことが、成長には大切だということが、歴史からわかるということですね。
成功した途上国政府
「成功した途上国政府は、自然にそうなったか意図的かはともかく、自国の要素賦存構造とそれほどかけ離れていない、発展段階も近い国の成熟産業を振興対象にした。開発の歴史を振り返り、経済分析の結果得られる教訓はわかりやすい。政府は潜在的比較優位に基づいて産業の高度化と多様化を図るべきだということだ。そうすれば、コーディネーションと外部性の問題を解決できれば、新しい産業を興すことができて、それらの産業は国内的にも国際的にも競争力を持つことができる。」(p.286)
比較優位に基づいて振興する
成功した途上国は、比較優位に基づいて振興してきたということです。
日本や韓国、台湾、そういった国々は、政府などが後押しして、比較優位を築こうとしてきましたよね。
これは、国の話ですが、企業や人でも、結局似たようなところがあります。
自分の持っているものの中、もしくはこれからできそうなことの中で、他と比べて、優位に立てることを実行していく。
こういうことですよね。
国のレベルでも、同じようなことが言えるということです。
では、具体的には、どういったことをしていくと良いのか。さらに詳しいことを知りたい方は、本書を読んでみてください。
取り入れたいと思ったこと
本書は、国レベルでの話ですが、個人や企業も、比較優位を築けるかという話はありますよね。
そういう意味で、どうやって比較優位を作っていくのか、こういうことは考えたいと思いました。
さらに考えて、比較優位を作っていきたいですね。
あわせて読みたい
『戦後経済史』野口悠紀雄
こちらは、日本の戦後の経済史について書かれています。
わかりやすいです。
日本の戦後の経済成長などを知りたい方は、合わせて読んでみてください。
『貧困なき世界』ジャスティン・リン
発展途上国がどうやって経済的に成長していくか。発展していくか。
本書では、過去の歴史から、その方法について書かれています。
言われてみれば、当たり前なのですが、これまでは、このようなことがはっきりとはわかっていなかったところもあります。
経済成長に興味がある方は読んでみてください。
おすすめ度
★★★★☆
発展途上国がどうやって成長するか。歴史から、その方法を探って、書かれています。
どのような政策を行うと良いのかを考えるヒントが得られるでしょう。
国の経済成長に興味がある方が読まれると、参考になると思います。
おすすめしたい方
貧困をなくすことに興味がある方。
ビジネスパーソン。
『貧困なき世界』ジャスティン・リン
今日の読書「ビジネス書をチカラに!」
他国に比べて優位なことを追求する
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