『脳はいかに意識をつくるのか―脳の異常から心の謎に迫る』ゲオルク・ノルトフ
本の目次
序章
第1章 意識の喪失――心の背後に存在する脳を探究するにはどうすればよいのか?
第2章 意識――神経活動と心の変換メカニズムとは何か?
第3章 自己――この家には誰もいないのか?
第4章 抑うつと心脳問題――精神疾患は、実のところ心の障害ではなく安静状態の障害なのか?
第5章 世界を感じる――私たちは「世界‐脳」関係をいかに経験しているのか?
第6章 統合失調症における「世界‐脳」関係の崩壊――「世界‐脳」関係が崩壊すると何が起こるのか?
第7章 アイデンティティと時間――「世界‐脳」関係はいかに構築されるのか?
脳と意識
「無意識」ということがありますよね。その反対に「意識」というものがあります。
その意識は、脳の中でどうやって作られるのか?
これは、まだよくわからないことだと思います。しかし、生きていると、意識で考えるからか、どうやって意識が出てくるのかということは考えないですよね。
本書では、そんな「意識」がどうやって脳で作られるのかといったことが書かれています。
安静状態が関係している
「安静状態の変動性が自己特定的な活動の程度に相関し、意識のレベルを予示することを発見した。この結果から、安静状態は自己特定性の仲介により、意識のレベルに間接的に関与するとみなせる。安静状態の変動性が高ければ高いほど、自己特定成、さらには意識のレベルもそれだけ高くなる。安静状態なくして自己特定性はなく、自己特定性なくして意識はない。」(p.73)
脳が安静状態にあることと、意識が関係している
上の文章を読んで、すぐに理解できるというものではないかもしれません。
脳が安静状態にあることと、自分を自分だと特定することが関係している。そこから、脳が安静していることが、意識と関係していることがわかるということです。
逆を考えると理解しやすいかもしれません。
安静状態の逆、パニックに陥っているときは、自意識があるとは言えないというか、自分が自分でないような感じになってしまうでしょう。
自分を特定できない、もしくはしにくい。
そう考えると、安静状態、脳に余裕があること、そういうことが、意識をつくるには必要ということがわかるということです。
脳と心
「従来の哲学では心から出発して脳に至るアプローチが取られていたが、脳とその内因性の活動から始めて意識を含めた心的特性へと至るアプローチをとることができる。そこでは、心と脳という二つの実在間の哲学的な問題とされていたものが、「内因性の脳活動によって、いかに神経活動が心的特性に変換されるのか?」という変換の問題に置き換えられる。」(p.83)
脳から心へ
心の話は、心だけを考えていても、よくわからないと思います。
心を作っている機関。脳などを理解して、初めて、心がわかってくるものでしょう。
進化論的に考えれば、脳から心が発生したと考えるのが自然だと思います。
脳の「機能」としての「心」。
こう考えると、脳も心も理解しやすくなっていくのではないでしょうか。
思ったこと
脳について、まだまだわかっていないことがあります。
このために、心のこともよくわからない。
こういうことがありますね。
脳科学と哲学や心理学が融合していくことで、これから脳も心も哲学も、進展していくのだろうと思います。
脳科学の知見が蓄積されていくと、心のこともわかってくるのでしょうね。
あわせて読みたい
『脳科学は人格を変えられるか?』エレーヌ・フォックス
こちらの本は、脳と人格の関係を書かれています。
人格を変えられるのかどうか、そんなことに興味がある方が読まれると、参考になるはずです。
こちらも合わせて読んでみてください。
『脳はいかに意識をつくるのか―脳の異常から心の謎に迫る』ゲオルク・ノルトフ
脳の異常から、意識についてアプローチするという話が、本書では書かれています。
異常から考えてみて、通常はどうなっているのかを考える。
そんなアプローチです。
まだまだ、脳についてわかっていないので、意識もまだわかっていないところがありますね。
心もよくわからない。
脳や心に興味がある方が読まれると、興味深く読むことができる一冊です。
おすすめ度
★★★★☆(★4.3)
脳はいかに意識をつくるのか。まだ良くわかっていないところがあります。
脳や心に興味がある方が読まれると良い一冊ですね。
おもしろく読むことができました。読んで良かったです。
おすすめしたい方
脳と心を知りたい方。
意識について考えたい方。
『脳はいかに意識をつくるのか―脳の異常から心の謎に迫る』
今日の読書「ビジネス書をチカラに!
脳が安静状態にあることと、意識が関係している
脳を知り、心を知る
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