『株式会社の終焉』水野和夫
本の目次
第1章 株高、マイナス利子率は何を意味しているのか?
第2章 株式会社とは何か
第3章 21世紀に株式会社の未来はあるのか
これからの資本主義や経済、会社は?
これからの資本主義や経済、会社はどうなっていくのか?
本書のタイトルは、「株式会社の終焉」となっていますが、もう少し大きな視点から本書では書かれています。これからの経済や企業に興味がある方が対象の本ですね。
19世紀と20世紀は、経済と技術の時代
「この2つの世紀は一体化しているので、合わせて「経済と技術の時代」と呼んでもいいでしょう。すなわち、近代とは、技術で成長を促進させてきた時代です。
けれども、これまでみてきたように、成長には限界があり、そこに至った後は収縮せざるを得ません。すなわち、成長=近代とみなせば、近代みずからが、経済の収縮(デフレとマイナス金利)を生んでいると言い換えることができます。」(p.157―158)
地理的・物理的に拡大し得ない
地球は、基本的に、地理的には拡大しません。
地理的、物理的には、これ以上、拡大するのは、むずかしいでしょう。
そう考えると、今以上に成長し続けることは、むずかしい。
そして、一旦成長したら、収縮する可能性がある。現在のデフレ・低成長などは、成長が終わった後の、経済の均衡・収縮局面だということでしょう。
デフレの原因は?
「デフレの原因を人口減に求める説がありますが、人口減少もデフレも近代がみずから生み出した産物です。近代の生みの親の一人、ベーコンが生み出した「進歩」が行き詰まり、すなわち近代社会をさらに一歩進めるためのコストがかかりすぎることが水面下の原因(X)なのであって、その結果として、目に見える水面上の現象、人口減少(Y)とデフレ(Z)が現れているのです。」
(p.162)
成長のコストがかかりすぎる
物理空間が無限というか、まだ余裕があるなら、同じことをしていても、コストを増やさずに成長可能でしょう。しかし、現代は近代に比べると、人間が居住可能な物理空間を広げていく余地が少なくなっている。コストがかかる。
そうなると、成長することがなかなかむずかしい。
イノベーションを起こすにしても、高度化していて、コストがかかる。成長が鈍化しやすい状況にある。
これが、人口減少やデフレの原因ということです。
わかりやすく言ってしまえば、成長するのがむずかしい段階にあるということですね。
だから、人も増えにくいし、デフレになりやすい。
取り入れたいと思ったこと
では、どうするか?
「より速く、より遠く、より合理的に」が、近代の価値観だったので、「よりゆっくり、より近く、より寛容に」が、これからの価値観、行動方針になるのでは、と本書では言っています。
そういう面もあるかなと思いますが、そのあいだなのでしょうね。どちらもあるということです。速くできるから、ゆくっくりできるというのはありますよね。
仕事時間を短時間で終わらせて、のんびりする。
ある面では、より効率的に、ある面では、よりゆっくりと。仕事は効率、余暇はゆっくり。
こんな感じはありなのだろうと思います。
あわせて読みたい
『善と悪の経済学』トーマス・セドラチェク
『善と悪の経済学』経済学は人間の物語。トーマス・セドラチェク - ビジネス書をビジネスのチカラに
こちらの本は、経済を動かすものが、人間ということがよくわかる本になっています。
経済学というと、数字が勝手に動くようなイメージがあるかもしれませんが、人間が動かしているものとしての、経済をイメージできると、また違ってきますよね。
ということで、こちらも合わせて読んでみてください。
『株式会社の終焉』水野 和夫
株式会社が終わるのかどうか。今後、変わっていくというのはあるのでしょう。
ただ、まだしばらくは、続きそうではありますよね。
経済や企業がどうなっていくのか?といったことに興味がある方が読まれると、興味深く読むことができると思います。
おすすめ度
★★★★☆(★4.3)
これからの経済や企業が、どうなっていくのか。
これまでの経済はどうだったのか。
このあたりに興味がある方が読まれると参考になると思います。読んでみてください。
おすすめしたい方
これからの経済や企業について考えたい方。
ビジネスパーソン。
『株式会社の終焉』水野 和夫
今日の読書「ビジネス書をチカラに!」
地球は、地理的・物理的に拡大し得ない
これからの経済や会社はどうなるか?