『知ろうとすること。』早野 龍五、糸井重里
東日本大震災の際に
東日本大震災の際に、Twitterで原発についてツイートしていた原子物理学者の早野龍五氏。
その早野氏と糸井重里氏の対談が、本書ではまとめられています。
当時のことを振り返りつつ、どのようなことを考えて、Twitterで原発事故などについてツイートしていたのかや、これまでの活動、これからについて書かれています。
▼ ここに注目 ▼
「なによりも、なにをするにも起点になるのは「事実」なのだと強く思いました。いますぐ事実とわかること、そして、のちのちやっぱり事実だったのだと認められること。このふたつを、とにかく目を光らせて探さなくてはなりません。大声や叫び声のする方向に耳も目も向いてしまうのは無理もありませんが、それよりも「事実」を、誰の不利になろうが、冷静に伝えてくれる人を探していました。」(p.178)
事実から
東日本大震災の当時、糸井さんが探していたこと、そして見つけたのは、ツイッターで、原発などについてツイートしていた、早野氏でした。
この本でとくにおもしろいと思ったところは、震災時の早野氏の科学者としての姿勢です。
「事実」を伝えようとしていた。そのための情報へのアプローチやその後の行動なども、世界へのアプローチの方法が興味深かったです。
科学の伝わりにくさ
「科学と社会の間に絶対的な断絶がある、ということに気づかざるを得ませんでした。放射線のことを知っているとか知らないとか、そういう知識の有無とはまったく別の次元です。「混乱した状態から、より真実に近い状態と思える方向に向かって、手続きを踏んでいく」というサイエンスの考え方を、一般の人たちに理解してもらうのは、とても難しいと知ったのです。」
(p.171)
世界へのアプローチの仕方の違い
事実かどうか自分で確かめる。そういうことを続けていく。
これは意外と簡単ではありません。だから、情報が本当かどうかを自分で確かめるということを省くようになる。
専門家や周りの信頼できそうな人が言っていること、マスコミの話を鵜呑みにする。
それで良しとしてしまう。そういうのがあると思います。
たいていのことはそれで良いのでしょうけれど、大切なことはそうもいかない。
だから、「知ろうとすること」が大切ということで、この本のタイトルは、こんなタイトルになっているのでしょう。
▼思ったこと
科学者の考え方として、「実験」で確かめるというのがあると思います。
いろいろな説や考え方があるけれども、実際はどうなのか。
こういうアプローチは、あまり多くの人は取らないのではないでしょうか。
誰か有名な人やマスコミ、もしくは知人が言っているから、正しいだろう。
そんなふうで終わらせる。
確かめるには、時間やお金、労力がかかりますから、面倒なので、そこまでやらない、できない。そういう面があると思います。
知ろうとすること。
原子物理学者の早野龍五氏と糸井重里氏の対談が、本書ではまとめられています。
科学者としての早野龍五氏の原発事故へのアプローチがとくに印象に残りました。
事実へのアプローチということなどを考えたい方が読まれると、参考になると思います。
読んでみてください。
▼ あわせて読みたい ▼
『なぜ「つい」やってしまうのか 衝動と自制の科学』デイビッド・ルイス
▼ おすすめ度 ▼
★★★★☆(★4.3)
▼ おすすめしたい方 ▼
科学的アプローチなどについて考えたい方。
ビジネスパーソン。
★『知ろうとすること。』早野 龍五、糸井重里
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