『「決め方」の経済学―「みんなの意見のまとめ方」を科学する』坂井 豊貴
「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する
- 作者: 坂井豊貴
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
第1部 決め方を変えると結果が変わる
第1章 民意は選挙結果からはわからない
第2章 「民主的な」決め方を考える――ボルダルール
第3章 一騎打ちで選択肢を競わせる――総当たり戦
第4章 決め方が変わると歴史が変わる
第2部 三択以上の投票で優れている決め方は何か
第5章 決め方を精査する――ペア勝者とペア敗者
第6章 ベストな配点を考える――スコアリングルール
第7章 「絶対評価」で決めるとどうなるか――是認投票
第3部 二択投票で多数決を正しく使いこなす
第8章 多数決で正しい判断ができる確率――陪審定理
第9章 多数決と暴力は何が違うのか
第10章 国会は多数決を正しく使えているのか?
第11章 法廷の「決め方」を分析する
第4部 多数の意見を尊重すべきでないとき
第12章 費用分担をフェアに決める
第13章 「決闘への満場一致」は尊重すべきか
第14章 個人の自由と満場一致はときに対立する
決め方
決めるというのは、意外とむずかしいことかもしれません。
本書では、多数の人がどうやって決めると、意見がまとめられるかといったことを書かれています。
経済学とありますが、経済というより、政治に近いように思いました。
経済というイメージで読むと違ってくるかもしれませんが、決め方の政治、もしくは、決め方の科学といった内容だと思って、読んでみると良いと思います。
▼ ここに注目・言葉・名言 ▼
「「民主的な決め方を考える-ボルダールール」
多数決の一番単純な改善案は、決選投票を付けることだ。より本格的な代替案は、「1位に3点、2位に2点、3位に1点」のように順位に配点するボルダールール。いずれも票の割れの影響を抑えられる。」(p.035)
多数決は、よい決め方なのか?
多数での意思決定として、多数決がありますね。
イギリスのEU離脱の国民投票は、残留か離脱かの2択を聞いたものですよね。
離脱に決まりましたが、半数近くは残留を選んでいます。大差がないにも関わらず、離脱してしまう。これが良いことなのかどうか。
この聞き方だと、残留派はいまいち納得できない形になりそうですよね。
差が大きくない場合は、2択だけだと、意思決定はいまいちなのかもしれません。
決め方が意義のある決定になるのかどうか。決め方を考えるというのは、より良い選択につながる可能性がありますね。
多数決は、どんなときに有効か
「多数決は、どんなときに暴力以上の価値を伴うのだろうか。
陪審定理はその問いに1つの答えを与える。一揃いの前提条件が成り立つとき、多数派の意見のほうが皆にとって正しい確立が高い。」(p.134)
陪審定理
多数決は、どんなときに有効なのでしょうか
裁判の陪審員の話で、「陪審定理」というものがあるそうです。
この定理合致するものは、多数決が有効になりやすいとのこと。
詳しいことは、本書を読んでみてください。
また、陪審員が多いと、正しくなる可能性が高まるとのこと。
そう考えると、国民投票は、これらの条件を満たしている方法のようにも思えます。
だとすると、国民投票はおおよそ「適切な」意思決定になるというのはあるでしょう。
ただ、意見が割れるとしたら、選択はある意味どちらも良いのでしょうけれど、負けた側には、納得感がないですよね。
別の選択肢があるのではないかと、イギリスのEU離脱の国民投票を見ていると思えますね.
取り入れたいと思ったこと
決め方。一人でもむずかしいですよね。
多数だとなおさらです。
決める前に、有効な決め方かどうかは考えておかないと、良い選択にはならないのかもしれません。
そんなことを、本書を読んでみて思いました。
決める前に、決め方を考える。今後は、そうしたいと思います。
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自分の意思決定について興味がある方は、こちらも読んでみてください。
決め方を考えるきっかけにできると思います。
『「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する』坂井 豊貴
みんなの意見をまとめる。
意外とむずかしいことでしょう。
真逆の意見があるでしょうし、そうなると、メリット・デメリットが、双方あるなどして、半々に分かれてしまう。
結局、選択基準が決まっていないと、意見はわかれることが多いのかもしれません。
何を優先するのか。この点が、選択には大きな影響を与えそうですね。
といったことを考えるのに、本書を読んでみると、また違った意思決定について考えられるでしょう。
おすすめ度
★★★★☆
決め方。そのメリット、デメリット、そしてどうすると良いかということを書かれています。
完璧な決め方はないのかもしれませんが、本書のようなことを知っておいて、決めると、選択が変わっていきそうに思えました。
おすすめしたい方
決め方に興味がある方。
ビジネスパーソン。
『「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する』坂井 豊貴
「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する
- 作者: 坂井豊貴
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
今日の「ビジネス書をチカラに!」
民主的な決め方を考える-ボルダールール
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