キーエンスでは、性弱説で経営を行っているということです。
性弱説はあまり聞かないかもしれません。
人は弱いというところから考えるということです。
『キーエンス流 性弱説経営』高杉 康成
目次
はじめに
第1章 高収益を生み出すカラクリ
第2章 キーエンスの強さを支える「性弱説」
第3章 性弱説視点で人を動かす
第4章 性弱説視点でモノ・カネ・情報の質を高める
第5章 「仕組みを動かす仕組み」が持つ価値
おわりに
『キーエンス流 性弱説経営』のここに注目・言葉・名言
「性善説とは、人はみな本来善人であり、「正しく聞けば、正しいことを話してくれる」
「正しく指示すれば何でもできる」「常識的なことはみんな分かっている」というような考え方です。マニュアルに関して考えてみるとこんな感じです。
■ある程度のマニュアルを作れば、それを守って動いてくれる
■仕事をきちんと頼めば、ちゃんとやってくれる
■スケジュールを明示したら、きちんと守ってくれる
どうでしょうか。すべてが「できる」という前提に立っています。ただ、実際のビジネスの場では、これらを誰もが完璧にできることなどほとんどないでしょう。やることが多くなったり複雑になったりすると、忘れたり、適当にこなしたりするケースが出てきます。かといって、全くできないわけでもありません。「ある程度まで」は、この性善説の考え方でも大半の人は動いてくれます。
一方の性弱説とは、人は本来弱い生き物なので、「難しいことや新しいことを積極的にはやりたがらない」「目先の簡単な方法を選んでしまいがち」というような捉え方です。
先ほどのマニュアルの話で出てきた内容そのままですよね。
■ちゃんとしたマニュアルを作っても、その通り動いてくれない人がいる
■仕事をきちんと頼んでも、抜けや漏れが出てしまう
■スケジュールを明示しても、なかなかその通りに進まない
皆さんの肌感覚はこちらに近いのではないでしょうか。」(p.58-59)
性善説と性弱説
性弱説とは、人は本来弱い生き物なので、「難しいことや新しいことを
積極的にはやりたがらない」「目先の簡単な方法を選んでしまいがち」というような捉え方ということです。
すぐに完璧にはできなかったりします。
完璧にはできないものとして考えて、その対策を取る。
そういった考え方だろうと思います。
「仕組みを動かす仕組み」を持つ
「「仕組みを動かす仕組み」を持つ
筆者が何度も仕組みの大切さを伝えるたびに、「そうは言っても、仕組みが機能しないことだってあるのではないか」と疑問を持っている読者もいると思います。ここでは、先ほど紹介した「1分単位で記入する日報」を例に、「仕組みを動かす仕組み」についてお話しします。
付加価値生産性の話の中で書いたように、キーエンスの営業担当者は日報に1分単位で記入します。「経営理念などに載せるだけでは浸透しないかもしれない」という考えの下、日ごろの活動に落とし込み、時間に対する意識を高める仕組みです。しかしながら、キーエンスはこれだけでは終わりません。さらに浸透させるために、上長と監査部門(キーエンスでは単に「監査」と呼びます)によるチェックを入れるのです。」(p.092)
チェックする
うまくいかないかもしれないと考えて、チェックする。
フィードバックをして、仕組みがしっかり機能するようにするということです。
性弱説で考えて、仕組みを作って終わりにせずに、うまくいかない可能性を検討して、対策を作る。
このようにして、仕組みなども機能するようにしているということです。
うまくいくところまでを考えて、実行すると言っても良いかと思います。
いずれにしても、できるようにするということですね。
取り入れたいと思ったこと
「キーエンスの高収益の秘訣として、ビジネス誌などで「キーエンスは営業担当者が顧客から潜在ニーズを拾ってきて、それを商品開発に生かしている」といった表現がたびたび登場します。これは厳密に言うと、
■困りごとが大きいモノ・コトを探す
■それを商品化する
■困りごとを見える化する
■困りごとを顧客と共有し、その大きさに気付いてもらう
という段階を経ています。だからこそ、高い価値のものを高い価格で買ってもらえるのです。そしてこの一連の流れでは、営業担当者が非常に大きな役割を果たします。営業担当者は日々ロールプレイングなどで、困りごとを共有できるように練習をしています。
なぜなら、困りごとに気付いてもらう(潜在ニーズを伝える)ことこそが、キーエンスにとっても、顧客にとってもいい結果につながるからです。」
(p.44)
こちらは、少し別の話ですが、キーエンスの高収益の話です。
困り事を探して、商品化して、顧客と共有して気づいてもらうことで、高収益化しているということです。
大きな困りごとを探す。
ここから始めたいですね。
あわせて読みたい
『数値化の魔力 "最強企業"で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』
岩田圭弘
こちらは、キーエンスでの、行動などの数値化について書かれています。
数値化して、改善していく方法などを考えたい方が読まれると、
参考になることが見つかると思います。
『キーエンス流 性弱説経営』高杉 康成
おすすめ度
★★★★☆
キーエンスでの、性弱説に基づく経営などについて書かれています。
人は弱いものということから考えて、経営、仕事をするとどうなるか
ということがわかります。
おすすめしたい方
ビジネスパーソン。
経営者。
今日の読書「ビジネス書をチカラに!」
人は弱いもの
性弱説で考えていますか?